このサイトは主に長山一夫の著書、仕入覚書を掲載するものです。

長山一夫、引退後の現状のご報告です。

皆様お元気にご活躍のことと思います。
8月の突然の我儘な引退宣言が、皆様には多大なるご迷惑、ご心配、ご混乱をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
9月は55年の鮨屋稼業最後の1ヶ月でしたが、まるで引退バブルの状況でした。コロナゆえの、全国からの久々のお客様のご支援によるご来店と再会もあり、多忙と喜びと緊張の連続でした。3蜜をかなり無視しての営業でしたが。それでもご予約をお受け入れきれずに、大変ご迷惑をお掛け致しました。
お詫び申し上げます。

私はその後も元気に、相変わらずのマメさと好奇心満々で、毎日をそれなりに生きております。この約2か月間のご報告をさせていただきます。
10月早々から、長年使用してきた調理器具、趣味の道具、店の雑貨等の整理が延々と続きました。そして趣味と実益を兼ねて始まった店の食器作りのための陶芸は、今年で延々40年となります。その間に作製した厖大な金継ぎだらけの器の数々、僕の大好きな作家達のタップリと金継ぎをした作品群。収集した美術品のほぼ全てを、なんとか常連のお客様の方々に差上げ終わりました。

25年ほど続けている小唄の稽古と発表会も、40年近くにになる陶芸も、コロナの影響で半年以上も中断していたのでが、10月から愈々再開、お仲間とのお付き合いも又始まりました。観劇の飢えを癒すために芝居(恋燃ゆる)、映画(スパイの妻)、(私たちの青春、台湾)、(鬼滅の刃)、(ストレイ・ドッグス)と観まくっています。
食事はお客様、友人、妻と、旨いものをマメに食いまくっています。しかし、さすがに体力が落ちてきています。会食は2日続くと疲れてしまうようです。活字も読んでいます。小説(ザリガニの鳴くところ)(金閣寺)(盤上の向日葵)(墨東奇譚)と久々の一気読みが可能となり、感無量です。月刊誌(HANADA)、産経新聞、ゆっくりと読み放題です。朝は通常5時、たまに妻に倣って4時起床、そのあと1時間ストレッチ、妻とお茶の後、のんびりと30分ほど又、朝寝です。晩酌とテレビの後、10時半頃には眠くなります。ブラックで無頼な半生の後の、なんと模範的で健康な生活の到来なのだろ。極楽、極楽。しかしこの楽な生活は、眼をさらに近く、耳はもっと遠くへとの思いやりをもたらしているようです。

鮨の魚の話を書かないかとの話があります。そのために、「増補 江戸前鮨仕入覚え書き」を1週間かけて読み返しました。その膨大な量に、我ながら呆れ、この頃はまだ若くて体力があったのだなァと感心しています。これから「続 江戸前鮨仕入覚え書き」、「SUSHⅠ 鮨」を読み返します。

美術館も行きたいなァ、温泉も行きたいなァ、ああ、忙しい‼忙しい‼ 何だかどっかで、さんざん聞いたことがあるようなセリフの日常、さァ、いつまで続くのか、どこへ行くのか、見ものです。

令和2年11月15日